『こどもの村』は、裏高尾町の本園に3軒の家庭舎、そして地域の中に3軒のグループホームがあります。
それぞれの家は、一般家庭と同じようにこども部屋、居間、台所、風呂場、トイレ等の生活設備を完備した家屋です。2人の職員を中心に、こども達は2才の幼児から18才までの6人で1つの家庭が構成され、生活の全てがこの家庭で行われます
食材はそれぞれの家庭で宅配や買物等で調達し、職員の温かい手料理により、楽しい団欒の食事が営まれ、人間関係の深さが培われます。
地域活動では、こども会活動を中心としたドッヂボール・マラソン・カルタ大会、資源回収等の活動、近隣町会との夏祭り・繭玉焼き・防災訓練、地域のいちょう祭り・梅祭り等に主体的に関わっています。

○こどもの村の春夏秋冬
~春~
この裏高尾一帯は花街道とも呼ばれ、桜、桃、レンギョウ、こぶしと色とりどりの花が咲き誇り、揚げ雲雀のさえずりでこども達の入進学を迎えます。
新しい職員やこどもを迎え、家庭舎のメンバーも変わります。
ピカピカのランドセル、新しい制服を着たこども達が、職員に付き添われて入園式、入学式と参列し、本園では緊張と喜びに満ちたスナップ写真が撮影されます。
園内の自慢の八重桜が開くころ、鯉のぼりが園内を悠々と泳ぎ、幼稚園や学校から帰ったこども達の歓声が山麓に響きます。
ボランティアによる高尾山ハイキング、テニス教室、こども会のドッヂボール大会等、親睦を深める行事も多い時期です。

~夏~
蛍が小仏川に舞う頃、様々な虫もこどもの村の生活に仲間入りをし、嫌いな虫も好きな虫もそれなりにお付き合いをしていきます。
まちに待った夏休み、朝のラジオ体操、小学生は学校プール、中高生は部活、それぞれに充実した生活が始まります。
7月は恒例の海水浴行事、8月にはいると盆踊りの練習、広場には櫓が建てられ小山神社祭礼、夏祭りを迎えます。卒村生との交流やそうめん流し、終戦記念日映画会等が催されます。太陽を浴びたこども達のキラキラした汗が大きな成長につながります。

 

~秋~
ひとまわりたくましくなったこども達の登園、登校が始まります。
幼稚園、学校の運動会の練習に熱がはいり、園庭でもリレーの練習をしています。
赤い羽根共同募金の街頭募金活動を全員で行います。募金をしてくださる方々のご厚情をこども達が感じとることができる大切な機会です。私たちの施設もこの募金の配分で備品や建物の整備を行っています。
七五三祝いが催され、晴れ着に飾ったこども達は、氏神様にお参りし写真館での撮影をします。市が開催するいちょう祭りにも参加します。特製の焼きそばやコーヒー、理事長特製の豚汁、園庭でとれた栗で作った施設長の渋皮煮は評判です。

~冬~
12月にはいると、餅つき大会があります。近隣町会、家族、友人たくさんの方が見え、つきたてのからみ餅、とりわけ園庭でとれたクルミ餅は特筆です。そして温かい豚汁で心も身体も温まります。年末には、町会合同防災訓練も実施され、職員と一緒にこども達も地域の方もみんなで力を合わせます。
楽しいクリスマスイベントの招待を受けたり、プレゼントをいただいたり、ワクワクが続く年の瀬です。
新しい年を迎える頃、卒村する高齢児や受験生、新しい春に向けての準備が慌ただしくなります。
3月の香しい梅まつりが終わると、卒村・入進学を祝う会が開催されます。

○こども達への自立支援
自立に向けてのアプローチ
自分の進路を選び取ることができるように、基礎学力の定着のために、小学生はタブレット端末を使い、ボランティアの協力を得ながら学習を行います。
中学生は、部活動に専念する児童も多く、様々な体験が心の成長育むとともに、思春期を迎えたこども達の心の揺れを職員が支えます。
自立に向けて経済面と社会生活の両面から高校生への適切なアルバイトの指導も大切です。
また、施設退所後のアフターケアにも積極的に支援し、特に自立困難児には、専門的な知識を身につけた職員がその対応にあたります。
こども達が一番望むことは家族と共に生活することです。一日でも早く家庭復帰ができるよう家庭調整と家庭再建の支援も積極的に取り組んでいます。

職員による支援
こども達の安全と健康を守り、能力に応じた教育に実践を心掛けています。
職員は、施設長、事務員、保育士・児童指導員、心理職員のほか、嘱託医、調理等を担当する非常勤職員で構成されています。
平成の世になってから、発達障害、知的障害、症候群等の難病、非行等が増加し、個別対応支援が求められています。
これらの困難なケースに職員が一丸となって対応し、より安らかに、心豊かに、健康にこども達が育成されるよう努力しています。また、駒木野病院との連携を行い、非常勤職員として精神科医を配置し、対応にあたっています。

自立児童へのアフターケア
エス・オー・エスこどもの村から自立した児童が、休日、正月休み、夏休み等に帰省した時は、自分の『故郷』として安らげる場を提供し、節度ある日常生活を送れるように支援します。また、児童からの相談には助言を行い、社会に貢献できる大人となるように応援しています。