明治の森高尾国定公園を取り巻く浅川地域ぐるり一周

2017年10月

人生にとって「自然との共生」が一番大切な生活要因ではないかとの考えの下に、「幸い薄い子ども達」との出会いがあり、東京都の西はずれに位置する自然豊かな高尾山の麓に「交通遺児救済施設」として開設する事ができました。以来、引き続き現在の「児童養護施設」を豊かな職員達に支えられながら運営できている事に、国民の皆様・会員の皆様に心から深く感謝申し上げます。今や人々は一極集中で首都圏に流れ込み、地方の一次・二次産業は老齢化と共に衰退し、日本の食生活・経済等に危機感を感じています。国土の考察の上からも、自然研究の場として豊富な動植物が共存しているこの高尾山での学びの中から、お預かりしている子ども達と緑を守り、自然と共に生かされていることを実感しつつ、読者の皆様にも何かを感じて頂ければ幸いです。

I、明治の森高尾国定公園の成り立ち
i、高尾山は関東山地の主脈である小仏山脈の小仏城山を通った最も南東側に位置し、案内川と小仏川を形成し南浅川となり、北浅川に合流し一級河川多摩川への流れとなります。地層は小仏層群で粘板岩・砂岩・頁岩等の互層から形成され、斜面は急勾配地が多いが、表土層の発達が素晴らしく貯水効果のある地層となり、加えて気温分布の幅があり植物生態系に適していた為、多くの生物が生き抜いてきた山地と聞いています。これ等の自然形成により壮年期の地形を持つ高尾山の稜線を挟み、常緑広葉樹であるカシ等の暖温帯林・夏緑広葉樹のブナ等の冷温帯林等の林が形成され、多くの植物学者や他の研究者のフィールドになったと理解しています。この自然環境を守り保存が出来たのも霊山としての開山があった事が良かったと思っています。
ii、高尾山が自然の宝庫となった要因は、天平16年(744年)奈良時代に僧行基が、自ら薬師如来の尊像を刻み、お堂を建立しこの尊像を安置し、寺の名を「高尾山薬王院有喜寺」と名づけられ、成田山新勝寺・川崎大師平問寺と並んで真言宗、関東三山の名刹として名高い寺院であったことが背景にあると思われます。高尾山は複雑な地形で「琵琶滝・蛇滝」もあり、自然環境も申し分なく、霊山として山岳信仰となるに相応しく山全体の自然・森林を保護し「殺生禁断」や盗伐を厳しく取り締まりました。以降、幕府直轄、御陵林、国有林、高尾山風致保安林、高尾鳥獣保護区に指定され保護されてきました。昭和42年、明治100年記念事業の一環として「明治の森高尾国定公園」に設定され、奇しくも同年、京王線高尾山口駅が国道20号線に接した山麓に開設され、ケーブルカー、リフト、登山道も整備されて今日に至っています。
iii、高尾山頂の三角点をご存知ですか。以前では、高尾山の標高は600.3mでしたが、現在では599.1mになっています。2等三角点の標石埋設のやり直しに因るものらしいです。山頂は別名「大見晴らし」と言い、当時は、地球が丸く見えたという人も居たと言う事もあり、「十三州大見晴台の碑」が立っています。十三州とは関東八州に五州を加えたもので、関東八州は上野・下野・常陸・下総・上総・安房・相模・武蔵の事で、それに越後・信濃・甲斐・駿河・伊豆の五州を加えた十三州の事だそうです。

II、ミシュラン三ツ星の「高尾山」の魅力
現在では、年間350万人以上の登山客を迎え、1年中楽しめる自然フィールドです。
①都心から1時間で行けるハイキング・自然観察路(6箇所の登山路、多くのコースあり)
②JR、京王線、高尾山ケーブルカー、リフト等の交通アクセスが良好
③飯縄大権現・大天狗のお山、高尾山薬王院有喜寺への参拝。かわいいムササビを探してね!
④高尾山頂(599.1m)からの八王子市街、富士山等の展望、関東13州は何処だ?
⑤高尾山から小仏城山・小仏峠・影信山・陣場山への小仏山脈縦走登山
高尾山=599m、小仏城山=670、小仏峠=548、影信山=727、堂所山=731、陣場山=857
⑥尾根道を挟んだ南側は暖温帯林(カシ類)・北側は冷温帯林(ブナ類)等の動植物観察
⑦猿園・食堂・土産店・トイレ・ビアガーデン等の完備。 綺麗に使ってね。

III、高尾山の自然観察路をあるいてみませんか!
i、1号路 (自然):3.8㎞・110分
麓の清滝駅広場の手前の舗装道から始まり、高尾山の自然の概要を掴むのに最適なコースです。舗装道を道なりに、カシ類を観察しながら急坂を登り、リフトの山上駅を過ぎると裏高尾側の斜面が開け、今度はイヌブナが見られます。ケーブルカー山頂駅からは、メイン道である表参道となり猿園や蛸杉を楽しみながら、暖温帯林や冷温帯林等を確認し、ゆっくりと高尾山の自然を見渡し、薬王院を目指します。チャンスがあればですが、日没後30分もすると、杉並木を滑空するムササビの姿や鳴き声を聞く事が出来るかも? 境内での参拝の後、高尾山頂に向かって石段から山道に入ると見晴台の終点です。
ii、2号路(森):0.9㎞・30分
南北斜面を巡るこのコースは、高尾山本来の姿を示し、南斜面には常緑広葉樹林のカシ林、北斜面には落葉広葉樹林のイヌブナ林と尾根を挟んで観察する事が出来ます。イヌブナ林にはブナの大木もあり、四季の変化に富み、初夏の新緑や秋の紅葉期は特に美しく感じます。
iii、3号路(植物):2.4㎞・60分
カシ類やヤブツバキ等の常緑広葉樹林の南斜面を巻いて高尾山頂へ続くコースです。始めは平坦な道が続き、アカガシ、ツクバネガシ、ウラジロガシ等のカシ林やカブノキ、カゴノキ、スダジイ等の常緑林も見る事が出来ます。20年程前まではオオルリ・アカショウビン・ブッポウソウ等の囀り、鳴声、飛翔等も見る事も出来ましたが、現在はこれ等の鳥を見かける事が無くなりました。ヒヨドリ・メジロや冬の渡り鳥のキビタキ等には会うことが出来、探鳥には良いコースです。
iv、4号路(森と動物):1.5㎞・45分
イヌブナ林のある北斜面を巻いて高尾山頂へのコースです。テーマは動物になっていますが、殆ど出会うことは無く、落葉樹林が続き、探鳥や野鳥の囀りを聞きながら、また、昆虫等を観察しながら「高尾山唯一の吊り橋」を楽しむことが出来ます。また、四季の変化を感じながら山頂へと足を運んで行くと、尾根筋には針葉樹のモミの林が広がります。設置されているベンチでの一休みも「また、たのし」、山頂はまもなくです。
v、5号路(人と自然):0.9㎞・30分
高尾山直下を一回りするコースです。人と自然は深い関わりを持っていること、自然の大切さを訴えています。江川杉・ヒノキ・カツラ等の植林群、クヌギ・コナラ・カシワ等が植林されています。今や、この木々も大木となり、新緑や紅葉期には見事な自然美を醸し出しています。北側の道端では、厳寒の日の出前、シソ科植物「シモバシラ」の氷の芸術を見る事が出来るかも知れません。挑戦して見て下さい。綺麗ですよ!!
vi、6号路(森と水):3.3㎞・80分
前の沢と呼ばれる渓流に沿った沢沿いのコースです。沢筋には高尾山を形成する小仏層群が各所に岩肌を見せ、断層や褶曲を観察する事が出来ます。また、水辺の植物やチドリノキ・コクサギ・ハナイカダ等の変わった植物やトンボやチョウが飛びまわり、小鳥の囀りに耳を傾け、水を求めて来る動物も沢山見る事が出来ます。ハイカーとして涼しさを感じながら歩くのも楽しみが倍化されます。この道筋にある高尾保養院奥には、中里介山が小説「大菩薩峠」を執筆した妙音院庵の跡が有ります。山肌を進むと岩屋大師が見え、滝の音と共に滝行の水場「琵琶滝」に辿り着きます。琵琶滝の上を過ぎ、緩やかに登るとケヤキ・ホオノキの植林群や、大木の杉に淡いピンクに清々しく咲くセッコクを見ることができます。遠景の森を眺めながらの歩行もこのコースの楽しみです。
vii、稲荷山尾根コース(雑木林の道):130分
清滝駅の左手からの上り口があります。6~7月にヤマユリの咲く斜面はかなり急です。頑張って登って行くとお稲荷さんを安置した祠があり、稲荷山の由来はこの祠にあるとの事です。もう少し頑張って登ると展望台があり、眼下に国道20号・関東平野が一望できます。雑木林の道の名の通り、雑木林が多く日当たりもよく、コナラ・クリ等からなる林は、植物の種類も多く、花や実を観察し、野鳥の姿やサエズリを楽しめる道です。
viii、いろはの道(学習の道)入口から日影沢キャンプ場:45分
高尾山頂から一号路を薬王院方面に向い、大看板「いろはの森」から北側斜面の自然林を楽しみながら日影沢へ下るコースです。道沿いの木々に名札をつけその頭文字が「いろは48文字」になっています。一気に下るとアッと言う間なので、森全体を味わい、落ち葉・芽吹き・倒木・木肌・空気の流れ・いろはを確認しながら、ゆっくりとした気分で五感を研ぎ澄まし、フェドンチットをいっぱい吸い込んで下山して下さい。日影沢林道を横断すると沢のせせらぎが聞こえ、高尾山の魅力をリックに詰め込んで、キャンプ場から日影バス停へ。
ix、蛇滝道:30分
蛇滝口バス停から「滝行修行の蛇滝」を通り、1号路十一丁目までの北側斜面を上り詰めるコースです。蛇滝から流れてくる沢に沿って、イロハカエデを見ながら水行を行なう「蛇滝」まではコンクリート舗装の上り道になっています。蛇滝を過ぎると九十九折りのきつい山道となり、雑木林・モミ林の中を黙々と登り騒めきが聞こえてきたら終点です。
x、蛇滝林道(行き止まり):15分
コンクリート舗装の蛇滝道の途中から左に折れると蛇滝林道へ繋がります。国有林管理の為に切り開いた林道で、上ってゆくと小仏川の谷とその彼方に八王子城山方面の景色を八王子ジャンクション超しに眺める事が出来ます。武士時代とIT時代のギャップを感じます。ゆっくりと植物や虫やチョウ・小鳥達を観察しながら歩くコースになっています。現在は圏央道高尾山トンネルの坑口を下に見て進んでもその先は行き止まりです。気をつけてね!!
xi、日影沢林道(行き止まり):110分
日影沢キャンプ場を過ぎ、直ぐに左手への道であり、この林道も国有林の管理と木材の切り出しの為に造られた道です。営林署の炭焼き体験場を過ぎ「いろはの森」の登山道を横切ると見晴らしが良くなります。北側斜面を切り開いた単調な林道で日光があまり当たらない林道ですが、モミ群の林が続き、スギ・ヒノキ・カツラや雑木林の四季の変化を感じながら、ゆっくりと裏高尾側の景色を楽しむ事が出来ます。また、小仏川の谷から、中央道・八王子ジャンクションの彼方に、影信山、八王子城山、高尾・八王子の市外から新宿までも見渡す事も出来ます。春になると林道筋の岩肌から水が出ている場所には「タゴガエル」の産卵・オタマジャクシの確認や鳴声を聞いたり、チョウ・トンボやアケビ・ホウノミ・ノイチゴ・ヤマブキ・アカハツ・ホウキダケ等々の昆虫や山の幸に巡り会ったり、夜間に食料のミミズを求めて掘り返したイノシシの作業の跡を見られたり等々楽しい林道です。空にはオオタカやトンビの舞い、藪の中ではガビチョウ・コジュケイの合唱と幅広く楽しむ事が出来ます。「こどもの村」からこの林道には5分程で辿り着けますが、「清明園」の裏山で行き止まりです。無理をして進んでしまった登山者は、沢への侵入で滑落やバラ科の植物が多い中の藪漕ぎで傷だらけになり助けを求めてくる事があります。油断や無理をしないで高尾の森を楽しんでください。
xii、日影沢キャンプ場から城山へ:60分
日影沢キャンプ場を過ぎて50m程歩き、日影沢林道の入り口を左手に見て、沢沿いに直進します。雑木林やスギ林を見ながら、沢のせせらぎとおいしい空気を吸い込み、緩やかな上りに挑戦してみてください。この道は小仏城山の電波塔設置と管理の為に設営し、林道としても使われ、城山売店への車道でもあり、途中に鍵がかかる鉄策が設置されています。この間にも名も無い登山道があります。この鉄策を過ぎると視界が広がり山頂から小仏城山までの稜線・人工林や高尾山の森・電波塔や城山売店等を見渡す事が出来ます。ここからの道程は近くて遠くを感じる区間です。
xiii、小下沢ザリクボから影信山へ:60分
旧小下沢キャンプ場から影信山への厳しく急峻な登山道です。沢本流の丸太橋を渡り、塩ビの水道管に沿い、支線の沢に沿って登山開始です。やや上りの足元には季節の山野草が咲き、10分程でこの沢から別れ、雑木林の中を急登の滑り易い九十九折をスミレの仲間等の花々を横目に見ながら直登します。夢中で登っていると鳴声や木々のザワメキから猿の群れに気付く事があり、自然の奥深さを感じるエリアです。大木のケヤキに辿り着くと道は水平になりヒノキ林を抜け、間もなく小仏方面からの道と合流した後、山頂までの急登が続き山頂へと辿り着きます。山頂でのナメコ汁やテンプラの美味さは言葉がありません。自信のある方はトライしてみて下さい。
xiv、小下沢林道(中央道下)から関場峠へ:100分
旧小下沢キャンブ場北側に車止めの施錠された門扉があります。この門扉を巻いて林道に入り、小下沢の本流に沿った林道は、東側の急峻な稜線で、八王子城山を強固な自然要塞となる北高尾山稜に沿って関場峠下まで設置されています。ダラダラとした上り道の景色は、削り取られた法面での小仏層群を直視出来たり、雑木林に咲く花々に見とれたり、沢のせせらぎに心休まるハイキングを楽しむ事が出来ます。関場峠に近づくに従って視界が広がり、違った山々に囲まれた雰囲気を味わう事も有ります。このエリアは山奥深い為、多くの猿の群れやキツネ・タヌキ・アナグマ・ノウサギ・テン・イノシシ等々の哺乳類やキジ・ヤマドリ等の鳥達も確認出来ます。山野草も見られ研究の分野としても大切に保存して行きたいものです。関場峠に辿り着けば左行は堂所山・明王峠、右行は富士見台・八王子城・高尾駅方面となります。工程は長いですが楽しみは沢山あります。是非どうぞ!!

*** その他、南高尾や陣場山、獣道に近い林道等も沢山有ります。お気をつけて! ***

IV、高尾界隈の名所・旧跡

  • 高尾599資料館・・甲州街道(国道20号)や京王線高尾山駅から高尾山ケーブル駅まで、自然薯トロロ蕎麦店や土産店が並ぶ門前町になっています。この参道の中間を左折すると八王子599ミュージアムがあります。この資料館は高尾山に関する動植物の全ての確認と他のあらゆる資料の展示があり、高尾山の知識と魅力を得ることが出来ます。近辺にはトリックアート館もあり面白い体験が出来ます。季節には青葉祭り、稚児行列、火渡り、紅葉祭り等々の行事も盛り沢山です。
  • みころも霊堂・・全国産業殉職者霊堂(インド仏教のパコダを模った12階建、高さ65m)毎年開催される例大祭日には皇室の方々も参拝されます。
  • 菅原道真公銅像・・大正天皇は天満宮の信仰が篤かった事から、皇居前には楠正成公像・桃山陵には乃木将軍像がある事で、大正陵にも文神像が相応しいとして多摩御陵の近くの初沢山中腹に設置される事に決定していましたが、基金不足により、浅川小学校校庭の一隅に4年猶予横たわっていました。昭和11年12月漸く建立、除幕式を行ない、昭和47年みころも霊堂完成と共に環境が整備され、大正天皇が眠る多摩御陵を見守っています(総高14.5m)。
  • 椚田城跡(初沢城跡)・・横山党分派椚田太郎時重の地名又は高乗寺開祖の長井大膳の居住跡とも言われ、浅川中学校学校林に続く初沢山山頂に石碑が残っています。
  • 金毘羅山地下壕跡・・太平洋戦争時、陸軍大本営設置の目的で金毘羅山にトンネルを掘削しました。以後、長野県松代に変更になった為、中島飛行機武蔵野工場の地下工場に使途変更され、約2万人の従事者で航空機エンジン等の製作が行われました。終戦まで20機分を生産しました。現在は封鎖されています。
  • 多摩御陵・・大正天皇・貞明皇后、昭和天皇・皇淳皇后が眠る墓所です。当時は列車による参拝の為JR中央線から参道に直結する浅川駅(市図書館になったが過激派の放火により消失しました。将来、道の駅として、現高尾駅から駅正門の唐様造りの建物全てを移築する計画との事)がありました。以後、高尾駅が皇室お迎え駅になり、皇室占用の休み所がありました。今日の御陵参拝には公用車にて高速道を使用しての参拝となり、高尾駅の使用は無くなり現在は構内のパン屋さんになっています。又、京王線北野駅からの御陵線が走っていたが現在は無く、長房町に橋脚が残っているのみです。多摩御陵の設置により甲州街道の追分交差点から高尾駅まで約6Kmの両側歩道はイチョウの並木となっています。毎年11月にはこの全区間でイチョウ祭りが2日間に亘って盛大に行われています。又、現在でもこの全区間の道路舗装は特別な堅固なコンクリート舗装になっています。
  • 多摩森林科学園(サクラ保存林)・・この地は北条氏が武田軍勢を迎え撃った古戦場の跡地です。明治時代に宮内庁直轄となり、農林省に移管され、現在は動植物の多様性・生態系の役割解明等の研究や森林総合研究所として使用されている。多摩御陵に接し、自然の地形を生かして桜の研究と全国の全ての桜を植生・手入れし、年間約8ヶ月間各種の桜の花を観賞する事が出来る園です。「御衣香」等の緑のサクラもありますよ。JR高尾駅北口から徒歩で約8分、桜の最盛期は多くの花見客で賑わいます。
  • サクラ見学コース(高尾駅北口から時計逆まわり寺院巡り)お寺のサクラは全てシダレ桜。
    ①金南寺 → ②大光寺 → ③高乗寺 → ④高楽寺 → ⑤真覚寺 → ⑥興福寺 → ⑦武蔵陵参道途中南浅川右岸土手沿い → ⑧水無瀬橋から南浅川橋左岸土手沿いの超長い桜並木 → ⑨サクラ保存林。  ・その他富士森公園ほか多数あります。
  • 小仏関所跡・・史蹟小仏関跡の石碑・手形石・手つき石は駒木野公園に設置されています。旧甲州街道の小仏峠に甲斐の国と武蔵野の国との国境を守る街道の要所として八王子城の防衛線として富士関があり、徳川時代に小仏関所として現在のこの地に移築されました。現在峠からの街道は「花街道」と呼ばれるように成り、各家々の手入れされた花々を観賞しながらのハイカーが多くなってきています。この花街道の裏高尾町は、小仏町会(宿場)、摺指町会(農耕)荒井町会(宿場、蛇滝修行)駒木野町会(関所役人)となりました。この先西浅川町になり現在の甲州街道に合流します。
  • 戦争の傷跡「猪鼻山トンネル列車銃撃事件」の慰霊碑・・旧甲州街道荒井町会蛇滝バス停近くのJR中央線線路際にこの石碑はあります。終戦間際、人々は疎開・買出し等の所要で高尾駅にて下り列車に乗車、満席状態のまま発車を待っていた時、空襲警報が鳴り米軍戦闘機による機銃照射の報を受け、急いで発車、このトンネルに逃げ込もうとしましたが、後部2両が入りきれず、機銃照射を受け200名余の犠牲者が発生し、内地で最大の列車銃撃事件となりました。地元の荒井町会、摺指町会の人々が駆けつけ救済・治療に奔走しました。亡くなられた人々の鎮魂の為、毎年慰霊祭を行ない現在に至っています。尚、高尾駅北口から1番線連絡通路階段を上る鉄製屋根支柱の手前2本目、3本目の屋根支え部分鉄骨に当時の銃弾痕が残されています。ペンキを塗っていないので直ぐ分かります。
  • 八 王 子 城 址・・現在、八王子市元八王子町と下恩方町に跨り、南を小仏川・北を北浅川に画された「深沢山(460.5m)」を中心に戦国時代末期に造られた広大な山城であります。城主は滝山城と同じ北条氏照で、永禄2年(1559)に甲斐の武田勢の猛攻を受け、堅固な新城を持つ為に八王子城を築城しました。「深沢山」を本体にして、周囲の山や丘陵・平地・河川からなります。城域は11Km・約400ha、高尾北陵を防衛線として20kmです。築城設計では山麓・山上・山腹に分けて考えると、①山麓には東端を堅固な二段山下曲輪、東側を近藤曲輪で固め、城山川左岸(下道)に石垣、その上にアシダ曲輪、御主殿地、蔵等があり、大手門からの大手道(8mの上道)には曳き橋、石垣、四脚門で固め、御主殿地に上ります。ここには客殿や建物群があり生活の中枢部でした。②山上には非常時の篭城に備えた曲輪群には二ヶ所の井戸を掘り、天主曲輪の下を上下二段中の曲輪、松木・小宮曲輪と西側の一段低い曲輪で囲み、馬冷やしを結節点とした馬回り道と西方400mの大天主(詰めの城)を結ぶ8の字道があり、南西側(裏高尾側)は尾根道でその裾を石垣で固め、北側は水平二段道に整備し、城全体の道を鉢巻上に整えられています。③山腹には東に面して深い谷を挟んだ柵門台(搦め手側と大手側の交差する要所)と山王台(御主殿地と山上の道を結ぶ要所)は、攻め登る敵を迎え撃つ場所でした。柵門台を下ると上下二ヶ所の金子曲輪、搦め手側を下ると滝の沢曲輪があり、柵門台のツヅラ折道を登った上に高丸の迎撃場がありました。大手道には上記の上道・下道があり、搦め手道には正規の道(現ハイキング道)と狭く険しい棚沢道があります。巧妙な地形を利用した八王子城でした。尚、城の石垣で固めた造りや大手道の雄大な構想は馬回り道で束ねた山上曲輪群も含めて安土城に通じるものがあり「見せる城」「威を示す城」の一面も持っています。

** エス・オー・エスこどもの村がある裏高尾摺指から八王子城への道は、猪鼻山(防御台、狼煙台)の尾根から小下沢・関場峠・堂所山への尾根道に合流、この道を西行し約700mの地点に八王子城の標識(富士見台)があり、右折した尾根道(八王子城南西側尾根道)を約500mで城跡に行けました。今は行けません。(現在はJR中央線と中央道及び圏央道八王子ジャンクションが出来、猪鼻山が削られ尾根が分断され、八王子城への標識も無く、尾根道も藪漕ぎの獣道化しているので危険です)

V、裏高尾町、各町会の案内・アクセス
裏高尾町は南に高尾山脈、北は八王子城尾根に挟まれ、旧甲州街道と並行して流れる小仏川に沿って、小仏峠から駒木野公園まで約7km、ウナギの寝床のような町です。八王子城尾根側の山裾・中腹にはJR中央線・中央自動車道が並走し、現在は圏央道により摺指町会、荒井町会を直角に高架で横断されてしまいました。標高599m、面積770ヘクタールの小さな場所で世界遺産にも匹敵する植物の種類数1321を有し、鳥類も100種類以上にのぼっていた高尾山を取り巻く環境が、今や昔からの静寂な自然豊かな山村では無くなり、生態系の変化でキツネ・野うさぎ等の哺乳類、オオルリ・アカショウビン・仏法僧等の鳥類、蝶・トンボ・カブトムシ等の昆虫、沢蟹・カジカ蛙・山百合・エビネラン・自然薯等々も減少し、高尾山帯に守られてきた生物が減少して来ている事に寂しく想い、何とか絶滅の前に保護活動が前に進んでほしいと願っています。圏央道が高架で横断している真下のトンネルが前述の列車銃撃事件があったトンネルです。又、猪鼻山は八王子城の防御山で「狼煙台・高所からの攻撃」として利用され、八王子城尾根に繋がっていましたが、圏央道の中央道とのジャンクションとして削られ、単独の山となってしまいました。裏高尾町では毎年3月に梅祭りが行われます。駒木野町会はイチョウ祭りにも参加します。
これ等の環境で生活している町会とその特徴は下記の通りです。
・小仏町会界隈
①小仏峠・影信山への登山口 ②中央道小仏トンネル緊急入り口
③都の天然記念物、小仏宝珠寺の銘木「かごの木」 ④シャガの群生
⑤小仏梅林 ⑥小下沢林道(関場峠尾根から左へ堂所山、右へ八王子城)
・摺指町会界隈
①日影沢林道(小仏城山登山口、イロハの森登山口、日影沢林道)
②日影沢キャンプ場 ③国際マス釣り場 ④カツラの木の群落
⑤コーヒーふじだな ⑥小山神社 ⑦常林寺 ⑧峯尾豆腐店
⑨児童養護施設エス・オー・エスこどもの村 ⑩湯の花梅林 ⑪猪鼻山
・荒井町会界隈
①高尾山蛇滝登山道・高尾山蛇滝修行場 ②老人施設清明会
③梅の里公園(圏央道ジャンクション高架橋下) ④列車銃撃慰霊碑
⑤天神梅林 ⑥高尾天満宮 ⑦みどり幼児園
・駒木野町会界隈
①念珠坂(地蔵群) ②駒木野公園・関所梅林 ③駒木野病院
④駒木野庭園

VI、旧甲州街道(裏高尾道=花街道)は 楽しみ街道
花街道の楽しむ方法は色々有ります。例えば、街道筋にある樹木や草花、鳥類、蝶類、昆虫、山々の姿、空の色、雲の流れ、空気の匂い、水の音、水の流れ等々の自然に関わることや、この地域の生活様式、この地に生活している人々との挨拶や会話等々他事再々です。この街道筋の住民は土地付きの人々が多く、親切で人との関わりが大好き、同姓の家々が多く屋号や名前で呼び合うことが当たり前の地域です。気楽に挨拶や声掛けをして下さい。このような住民の皆さんは、家々や庭木の手入れに励み、綺麗な環境を作ってくれています。この街道は小仏川に沿って転々と家々が並び、手入れに勤しみ、ハイカーの皆さんに喜んでもらっています。四季折々の季節を選んで来て下さい。
見られる主な物を下記に列記します。
(樹木)
モミジ類、目薬の木、カエデ類、カツラ、ブナ類、シデ類、アオハダ、ホウノキ、コナラ、柏、シャクナゲ、モミノ木、サクラ類、ケヤキ、沢胡桃、アサダ、赤松、ツツジ類、ミズキ、チドリノキ、ハナイカダ、コクサギ、杉、桧、栗、カシ類、椿、シロダモ、榊、アサダ、シキミ、キブシ、ゲンコウバイ、アブラチャン、カンアオイ
[希少樹]ツガ、ハリモミ、ハルニレ、ヨグソミネバリ、メグスリノキ、ケンポナシ、オオウラジロノキ、カゴノキ、スダジイ、ユクノキ、エゾエノキ、カジカエデ、オオシマザクラ、ウラジロモミ、カラマツ、ボダイジュ、サワグルミ
(山草)
イチゲ類、イチリン草、ニリン草、スミレ類、エンレイ草、コンロン草、ヤマブキ、ヤマルリ草、ユリワサビ、萩類、キク類、シモバシラ、タカオヒゴタイ、タカオイノデ、タカオスミレ、タカオワニグチソウ、ホウチャクチゴユリ、レモンエゴマ、ジンバイカリソウ、カタクリ、ハナネコノメ、コチャルメルソウ、スプリング・エフェメラル、ヤマユリ、イワタバコ、アジサイ類、リンドウ
(動物)
キツネ、タヌキ、テン、ハクビシン、ムササビ、アナグマ
(昆虫)
ウスバシロチョウ、オオムラサキ、アサギマダラ、トンボ類、セミ類、甲虫類
(鳥類)
シジュウカラ、ゴジュウカラ、コゲラ、アオゲラ、メジロ、ヒヨドリ、オオルリ、
キビタキ、クロツグミ、ジョウビタキ、ルリビタキ、ウソ、ガビチョウ、カケス、イカル、ヤマガラ、エナガ、ツバメ、センダイムシクイ、トンビ、オオタカ、カラス、アオサギ
(その他)
タゴ・カジカ・ガマ・トノサマ蛙等の両生類、タカチホ・シロマダラ・マムシ・
ヤマカガシ、アオダイショウ、シマヘビ等の爬虫類
(近年見かけない種類)
アカショウビン、ブッポウソウ、ギフチョウ、ホトトギス、アトリ、
カヤクグリ、アオシ、シロハラ